コムレック族の動物展

大らかなアニミズムの形

コムレックはかつて狩猟採集民であった先祖を持つ、アルゼンチン北部グランチャゴに住む先住民族です。その女性たちによる工芸品です。

羊毛で紡いだ毛糸や草木を天然の染料で染め、ワイヤーの芯に肉付けて形を作っています。つい微笑んでしまうユニークでとぼけた表情がとても愛らしく魅力的です。何人かで作っているので作品それぞれに仕上がり表情も、思わず感心するものから拍子抜けするほど大らかなものまで様々。

土着の民族が生きて来た歴史を継ぐ創造性と想像力。
実在する動物から空想のものまで、それは先祖から受け継ぐ世界観や文化、自然や宇宙との霊的な関係を表しているプリミティブ･アートと言えるでしょう。

今回は、名もなき『作家』たちの作品をみなさんにご紹介する初めての展覧会でもあります。
暮らしの中で女性たちが作業する様子を想像してみるのも面白いと思います。楽しんでいただけたら嬉しいです。

石川博子

「空想原」に生きる動物たちv